私を探しに来たモロッコ人、知り合いといっても会話は殆どしてませんでした。
私とモロッコ人を繋げたのは、タンジェからフェズへ向かう長距離バスの中で知合ったドイツ人旅行者です。
【モロッコの街紹介】
タンジェ:ジブラルタル海峡に面した北端の港町
フェズ:内陸にある古都
前の席で大きな声で盛上っていたのが彼らでした。
様子を伺ってみると、欧州人とモロッコ人が片言モロッコ語で話していました。
欧州系の人がモロッコ語を話しているのが珍しくて、思わず観察してしまいました。
しばらくして私の存在に気づいた欧州人(ドイツ人と判明)が陽気に話しかけてきました。
バックパッカー時代には変わった人にたくさん出会ったけれど、彼もその中の一人です。
彼が持っているのは、パスポート、分厚い辞書、少しのお金・・・これだけです!!!
着替えはもちろんカバンさえも持っていない。
「着の身着のまま」を実践してる人でした。
ドイツからモロッコまでほとんどヒッチハイクで移動。
「お金を使わない!!!」・・・彼のモットーだそうです。
旅の目的は語学習得のためで、これまでもいろんな国にこのスタイルで旅してるそう。
モロッコ語をマスターするために来たけど、アラビア語はある程度習得しているから、そんなに大変ではないそう。(単語が違うだけで文法は似ている)
その破天荒な旅ぶりを新聞で紹介されるくらい地元で有名らしく(切り抜きの新聞を見せてくれた)、彼の話を興味津々で聞いていたら、すっかり打ち解けて仲良くなりました。
するとそのドイツ人が「フェズに着いたら、さっき知合ったモロッコ人の家に泊めて貰う事にしたけど、君も一緒にどう?」と提案してくれました。
現金が底をついていた私には「渡りに船」ってやつです!
『旅は道ずれ、世は情け』といいますもんね。
そうして私はドイツ人と一緒にモッロコ人の家に行くことになりました。
泊めてもらうことになったモロッコ人の家は、泥で作られた高層集合住宅。
「崩れてこない???」とかなり不安になる建物。
旅していた当時(20年前)はテレビも電話も各家庭にまだ普及していないようでした。
日本では既に携帯電話の時代に入っていたし、パソコンも広まっていた頃です。
日本の暮らしぶりを話したら、とても驚いていました。
モロッコ人:「個人で電話を持つなんて凄い!!!」
彼からモロッコの暮らしぶりを聞くと(通訳:ドイツ人)、自分は恵まれた環境にいるんだなと実感しました。
さて、フェズでの旅の思い出。。。はっきり言って、かなり苦い(^^;)
どうして苦いかと言いますと、、、あまりにもドイツ人の旅スタイルが変わってたからです(笑)
フェズといえば、迷宮都市!入組んだ路地も地元の人と一緒なら安心♪と考えてたけど考えが甘かった。
バスターミナルからモロッコ人の家に荷物を置いて、すぐに観光すると思っていたら、ドイツ人がカフェに行きたいと言い出した。
長旅だし、まずは休息も必要ね、30分・・1時間・・・2時間・・・・、だらだらカフェで喋っているだけ。
私:「そろそろ観光しに行かない?」
ドイツ人:「僕は観光は嫌いなんだ」
私: (゜Д゜;)
ドイツ人:「彼と話せてるから(モロッコ語の練習)満足さ」
そ!そういうことか!!気づくのが遅いよ私。(><)
ダラダラと人の語学習得に付き合うために、遠路遙々来た訳じゃない!
私:「それなら一人で行って来る!」
彼らと別れて一人で行こうとしたら、心配してくれたのか?カフェに飽きたからか?一緒にメディナ(旧市街)に行くと言う。
し・か・し、この同行も微妙でした。
私は路地に入っていろいろ冒険したかったのに、危ないからと制止され、安全圏な通りをサクっと案内されただけ・・・。
やっぱり旅のスタイルが違う人と一緒にいるのは、もどかしい。
その晩は泊めてもらったけれど、次の日にはフェズを出発しました。
ドイツ人とモロッコ人はすっかり仲良しになったようで、一緒に旅するために首都(ラバト)に向かうと話していました。(パスポート?ビザ?の関係??)
これがフェズでの出来事です。
私を探して訪ねてきたモロッコ人とはこれ以上でも、これ以下でもない関係です。
さてやっと本題なのですが、、、フェズに住んでいて、ドイツ人と旅してるはずのモッロコ人が、なぜ、私を探しにこんな偏狭の地に来たのか?
さっぱりわかりません???( ̄□ ̄;)
でも悪いイメージも全くない。(ってか恩人)
隠れていないで、直接話してみようと決心しました。
隠れていた物置部屋から外に出ると、かなりの人が集まっていました(^^;)
間に入っていた警察官は途中で帰って行きました・・・。(連れて来たんだから、一緒に帰ってよ!)
ガイと私を訪ねてきた人を囲んで大きな輪ができてます。
今にも殴り合いをしそうな二人を止めに入っている人や、興味本位で眺めてる人などなど。。。
あまりの急展開にオタオタしながら輪の中に入ると、思っていたようにフェズで泊めてもらった人でした。
モロッコ語しか話せない彼との会話は、ガイが通訳してくれることになりました。(通訳してくれる途中で口論が始まるから、ヤヤコシイ)
私:「どうしてここにいるの?」
フェズ人:「君が大切な物を忘れたから届けに来たんだよ」
私:「ありがとう。私、何を忘れたの?」
わざわざ運んで来てくれた貴重品とは何なのか???パスポートもクレジットカードも・・・、思いつく限りの貴重品はちゃんと所持してます。
フェズ人:「今、ここにはないんだ!」
???? ( ̄□ ̄;) ????
意味がさっぱりわかり?ません。
私:「ここにないってどういうこと?それにあなたドイツ人と一緒じゃなかったの?」
フェズ人:「ええっと・・・、その・・・」
かなり動揺してシドロモドロ状態。
フェズ人:「君と別れた後、ドイツ人と一緒に他の街に行ったんだ。たまたま家に電話したら、君の忘れ物を預かってると教えてくれたんだ!だから一緒にフェズに取りに帰ろう」
とっさに考えた嘘にしてはウマイ!だ・け・ど、やっぱり怪しすぎる(^^;)
だって、あなたの家には電話はなかったやん!
万一、何か忘れ物をしたのを聞いたとして、ドイツ人との旅行を止めて私を探します?(しかも私の旅先を手探りで探しながら・・・)
本当に本当に \(◎_◎)/ わけわかりません!
私:「忘れ物があるのかもしれないけど、貴重品は全部ちゃんと持ってるから、フェズに戻らないといけないほどじゃない、せっかく来てくれたのにごめんなさい。」
話の真相を聞いて、皆もやっぱり怪しく思ったみたいで、怒号の嵐が吹き荒れました(><)
宿の皆から追い払われて、多勢に無勢、自分の置かれている状況に気づいて暗闇の中に消えていきました。。。(宿の半径2キロに建物はない・・・あの後どうしたんだろ)
本当に善意の行動なら、遠路遙々やって来てくれたのに、こんな別れで申し分けなかったのだけど、やっぱり普通に怖かった。
ホテルの人と仲良くしてて良かった(;;)皆が守ってくれなかったらどうなっていたことだか。
宿から追い払われたとはいえ、また私に付きまとう可能性があるから、ここから早く出たほうが良いと忠告を受けました。
「確かにその通り! ( ̄_ ̄;)」
居心地の良かった砂漠の宿との別れの時がやって来ました。(こんな急展開で宿を離れるとは思っていなかったよ・・・)
翌朝、宿の皆とお別れの時。(別れって本当に寂しい)
花ちゃんも私と一緒に宿を離れることにしたので、私と花ちゃんとガイ、3人で街のバスターミナルに向かいます。
ずっとお世話になったガイ、花ちゃんとも目的地が違うのでバスが来ればお別れです。
なんとも言えない悲しい気持ちでバスを待ちます。
花ちゃんがチケットを買いにその場を離れている時に、宿で一緒だったイギリス人2人組に遭遇。
嬉しくて話しかけたら、かなりどんよりした雰囲気。
私:「どうしたんですか?」
イギリス人:「すごい辛い目にあっていたの!(怒)、周りを伺いながら(近くにいるガイを意識して)、内容がわかってしまうからここから離れた場所に行って、日本語の早口で詳細を説明するわ!」
まさかモロッコの偏狭の地でイギリス人から日本語の早口を聞かして貰えるなんて。
【注意】イギリス人2人組のうち一人は昔、日本のNHKで派遣社員で働いていたことがあり日本語が話せるのです。
そして驚愕の話を聞かされました!!!
宿で雇ったガイド(ガイと一緒にはじめに私に声をかけて来た人で、花ちゃんを宿に連れて来た人)と一緒に、彼女達は砂漠へ「らくだツアー」に出かけていました。
夕方から出発して砂漠の中にある小屋で仮眠して、次の日の昼に帰るというコース内容で、1日目はそれはそれはとても楽しかったそう♪
それなのに、小屋に着いて、仮眠をとって・・・朝、目が覚めたら、、、荷物と一緒にガイドもらくだもいなくなっていたのだって!(屮゜Д゜)屮
どこだかさっぱりわからない砂漠の真ん中で、途方にくれたそう。
数時間後に運良く通りがかった人に、発見されたので助かったけど、もし出会っていなかったら日射病で死んでたかも(><)
イギリス人:「だからガイも信用してはダメよ!」・・・彼女達を嵌めたのはガイの友達。
ガイ、君は良い人じゃなかったの???・・・放心状態のまま花ちゃんの所に戻ると、花ちゃんが私に聞いてきました。
花ちゃん:「ガイにお金をいくら位払う?」
私:「お、お金?」
私の中でガイは友達だったので、お金を払うという感覚がなかったんです。
花ちゃん:「ガイだって生きていかなくちゃいけないし、長い間一緒にいてくれたんだからお礼はするべきじゃない?」
その通り!その通りなんだけど、、、お金を払ってしまうと、ガイとの関係がとても薄っぺらいものに感じてしまう。
花ちゃん:「いくら欲しいかガイに聞いてみる!」
そう言って、ガイにお金の話をしに行ってしまった。
さっきのイギリス人の話といい、急に現実に引き戻されたみたいでかなり落ち込みました。
花ちゃん:「ガイに聞いたら、いくらでも良いって!気持ちで十分って話してた。だから ○○DH渡そう。」
○○DH・・・ガイド相場からしたらかなり低い金額、でも現地の人にしたらかなりの額。
花ちゃんの意見は尤も、でもなんかモヤモヤ。
だけど花ちゃんだけにお金を出させるのもおかしいし、結局、ガイにお金を渡すことにしました。
そんなやり取りをしていたら、私の乗るバスが来て、バタバタと別れることになってしまいました (´A`)
楽しい思い出、怖い思い出、いっぱいいっぱい詰まった砂漠の宿。
ガイにはたくさんたくさんお世話になったのに、わだかまりを持ったままの別れ。(微妙な歯切れの悪い別れになってしまった(><))
・・・悶々としながら向かった次の街の宿で、偶然、マーク(フランス人バックパッカー)と再会!
次なる旅が始まります!!!
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